2010年11月24日水曜日

はてなきハイウェイ /(It's a) Long Lonely Highway



はてなきハイウェイ
/(It's a) Long Lonely Highway



はてなきハイウェイ(はてしなきハイウェイ) は1963年に録音されたが、エルヴィス・プレスリー主演映画のサントラとしてシングルリリースされたのは1965年だ。

最初は、たいしたことのない曲だと思ったものだ。
しかし、そうではない。この歌は聴けば聴くほど深くなっていく。

涙のしずくのように憂いと潤いのある声。
エルヴィス・プレスリーならでは哀愁を帯びた声が、
<はてなきハイウェイ>では、平静を保つように、淡々と転がっていく。

声とは対照的に突き抜けた明るさと乾いた空気を感じるパフォーマンスが、他人事のように客観的に見つめているようで印象的。

どこへ行こうが頭から離れない愛しい人の面影、仕草、言葉。
それらとどれだけ格闘しても、自分をねじ伏せる強い力。
起きて敗北、寝て敗北。枕は岩、口にする水は泥水となって襲いかかる。
深ければ深いほど、一途であればあるほど痛み。ただ敗北感だけが道連れ。

男は死んでしまうのか?
大丈夫、

♪ keep on going ♪ 
    このまま進んで行かなくちゃ ♪

しかし、何のために?

ひとりの女と別れることは、別のひとりの女、もしかしたら、もっといい女に出会う可能性でもある。
物事の選択は、自分の選択でしかない。

♪ Tell her she's the one to blame ♪ あの娘のせいだと伝えてくれ ♪

そうは言っても、あの娘の選択ではない。生きようが死のうが、全部自分で引き受けて生きるだけだ。自分の選択だ。

♪ keep on going ♪ このまま進んで行かなくちゃ ♪

男は自分にムチを入れる。

♪ keep on going ♪ 

<はてなきハイウェイ>は男の詩だ。乾いている。

理屈が通じない女の世界。感情に弾き飛ばされた男は、全く情けない話だと自嘲しながら、キズつくことを選択した。

愛した女を守ってやりたいと思った男は万能の神の力を羨望する。
愛してしまった男の心はお守りの気持ちと同じ。
神の力にかけて、どれほど古びてもご利益がなくなったとは言えない。

失恋ごときで砕けていられない。ロックンロールだ!<はてなきハイウェイ>
踏まれるほどに守り抜きたい心もあった。
男はブルー・スエード・シューズをはいて旅に出た。

男は自分にムチを入れる。

♪ keep on going ♪
      このまま進んで行かなくちゃ ♪

それが何になるのかと聞いてはいけない。

自分の良心にかけて、自分の良心を涙で磨くとき、男は自分になる。
keep on going

自由万歳!C級生活万歳!エルヴィスは最高だ!
<はてなきハイウェイ>男になる旅は終わらない。



長くて孤独な道のりさ
たった一人で旅していると
とっても辛い世の中さ
恋人がいないということは
たくさんの町を通り過ぎていく
名前のないほど小さな町を週ぎていく

*でも、このまま進んで行かなくちゃ
あてもなくあの道を
止まらずに、そのままで
愛する人さえいないけど
道に沿って、ひたすら進むのさ

長くて孤独な道のりさ
あの娘が一緒にいなければ
この道は涙でできた道
今でも流れ続けてる
心がズシリと重いんだ
全く情けない話だよ

*くり返し

枕の代わりには岩を
シダレヤナギの木の下で
寝床は冷たい草の上
飲み水は泥だらけ
だからってオレのこと
死んだほうがマシ、なんて言わないで

長くて孤独な道のりさ
道はどんどん長くなる
あの娘が探しに来なければ
頭がおかしくなりそうだ
もし、俺が新間にのったなら
あの娘のせいだと伝えてくれ

*くり返し

翻訳:川越由佳氏

<はてなきハイウェイ>は、映画「Tickle Me」(邦題「いかすぜ!この恋」)の挿入歌として使用された。合計9曲が歌われた。
<いかずぜ!この恋>と共に4曲が2枚のシングル・リリース。
残りは<がっちり行こうぜ><ナイト・ライダー>などを5曲を収録したEP盤でリリースされた。現在はテイク違いも含めて合計25曲を収録したアルバムも流通している。

1965年のエルヴィス・プレスリー主演映画「Tickle Me」(邦題「いかすぜ!この恋」)は。監督ノーマン・タウログ。共演はジュリー・アダムス。「ダッジ・シティ」などB級映画に出演していたキュートな女優。
時代は現代だが、ウェスタン・スタイルのロデオ男が印象的。恋とゴースト騒動のコメディ。

2010年8月16日月曜日

クライング・イン・ザ・チャペル/ Crying In The Chapel


クライング・イン・ザ・チャペル/ Crying In The Chapel

リバプールサウンドが全盛の1965年。
ビートルズの<涙の乗車券>、ローリング・ストーンズの<サティスファクション>連続ナンバーワンをかっとばしたスプリームス<ストップ・イン・ザ・ネーム・オブ・ラブ>そして歴史に残る名作、ボブ・ディランの<ライク・ア・ローリングストーンズ>、等永遠の名曲が登場した年だ。

そんななかを一曲の静かな曲がヒットチャートを駆けのぼった。
サントラ盤を除くと<悲しき悪魔>以来の勢いのあるヒットだ。
<クライング・イン・ザ・チャペル>である。

チャペルで祈る私の姿をあなたは見ましたね
そこで流した私の涙は喜びの涙だったのです
私は満足の意味を知っています
今私は主にあって幸せです

そこは素朴で簡素なチャペルです
謙虚な人々がお祈りにやってきます
私は日々をしっかり生きぬくために
主がもっと私を強めて下さるよう祈ります

私はひたすら探し求めつづけました
けれどもここのほかには心の平和を得られる場所は
世界のどこにもなかったのです

今私はこのチャペルで幸福です
ここでは人々の心は一つです
私たちはこのチャペルに集い
ただ主の誉め歌を歌い主を讃えるのです

あなたはひたすら探し求めつづけるでしょう
けれども、ここのほかには心の平和を得られる場所は
世界のどこにも見つからないはずです

あなたの悩みをチャペルに持っていらっしゃい
そしてひざまづいて祈って下さい
するとあなたの重荷は軽くなり
きっと新しい道が見つかるでしょう

リリースは65年4月だが、レコーディングは60年10月30日、31日にかけて行われた。
61年2月の大ヒット曲<サレンダー>を収録するためのセッションのはずだったが、エルヴィス・プレスリーは<主の御手を我が胸に/HIS HAND IN MINE>など大好きなゴスペルを歌いまくってゴスペル・セッションと化した。

除隊後、新たな局面への不安と野心がみなぎった緊張の再活動へ自分を投げ込んだ様子が伺える。この時のゴスペルは主に『心のふるさと/HIS HAND IN MINE』に収録された。

シングル<クライング・イン・ザ・チャペル>裏面の<天の主を信じて>は入隊前のアルバム『心のふるさと』からのカットだ。両面がゴスペルで整えられた。こちらでもうっとりするほど柔らかなエルヴィスが聴ける。

『心のふるさと』を収録した時代。ロックが市民権を得た時代ではなかった。エルヴィス・プレスリーは白眉のスーパースターであったが、同時に非難の対象でもあった。ロックンロールが一過性のものであるという印象が巷にも業界にもあった。エルヴィスもそれに留まる気持ちはなく、野心的だった。

カンツォーネ<イッツ・ナウ・オア・ネヴァー>での驚くようなパフォーマンスに続いて、<クライング・イン・ザ・チャペル>はエルヴィス・プレスリーがどんなアーティストであるのか、そのロックンローラーとしての激しいパフォーマンスの向こうにある等身大の心情をさらけだしたセッションから生まれた。

エルヴィス得意のイントロなしのスタート、ピアノとコーラスが追いかけるような展開は歌一本、歌だけで音楽の頂点にたったエルヴィスならではの音楽への心意気が伺える。
ひとりの人間の人生の一場面を歌ったものだが、イントロなしのスタートによって、そこに至るまでのドラマが匂いたつ短編小説の香りのするような曲。孤独な青年をそれ以上に孤独な表現者が描いた世界を呼吸とともに聴かせる。

”Get down on your knees and pray”神の前にはちっぽけな存在でしかなく、” l'll grow stronger ”神なしでは強くなれないことを心こめて歌っている。
ナマなエルヴィスが敬虔な気持ちをより一層身を正して立っているので、信仰心のないピエロも思わず教会の窓からのぞき見してしまう。愛ピエロに一歩近付く楽曲だ。

エルヴィスが67年にリリースした<青い涙>の作者グレン・グレンの親アーティ・グレンが1953年に息子のために作った楽曲。

すでに多くのミュージシャンが取り組んでいたので<涙のチャペル>のタイトルで国内でも知られるが、後発ながらエルヴィス盤はその最高峰となった。”You saw me ””Get down "の声が離れない。エルヴィス・バラード数あれど屈指の名作だ。

2010年6月10日木曜日

スイムで行こう/DO THE CLAM


スイムで行こう/DO THE CLAM

ロックンロールから離れて、ポップな映画スターになりきってしまったエルヴィス・プレスリーは愉しいね。

『フロリダ万才』では、エルヴィス自身ばかりか、マリリン・モンロー『お熱いのがお好き』もパロディにしてしまうたくましさ。エルヴィスは、トニー・カーティスのファンだったからね。映画も楽曲も、これぞ永遠のアメリカって色も鮮やかなB級パラダイスのお手本。

でも当時大流行、大ヒットの<スイムで行こう>を、いま聴こうとしたら結構困難。

現在で回っている、どのアルバムにも収録されていない。

当時はこの曲、ヒットチャートを飾っていたのに、現在この映画からは<恋のあやつり人形>の方が主に使用されていて、ゴールデンレコード第四集もそう。




なあ、みんな、集まって        楽しみ~~~、キングのパーティーよ~~!
ボンゴの音を聞いてくれ        いい音、イケてる~~~~!
近くにいる誰かの手をつかんだら    キングの手を握りたいヨ!
みんなでビーチをシェイクしよう    なに!砂浜をふれって!!
(イエー、イエー、イエー)       なんでもええから、叫んどけ。
スイムで行こう            貝をしょうってよ
スイムで行こう            貝をしょうって、どうすんの?
裸足の足を手でつかんだら       幽霊だったらどうすんのヨ
クルリと回ってからかって       足もって回れって、レスリングだよお~~~!
力いっぱい抱き合って         ウ、四の字固め?
腰を落としてスイムで行こう      ウウウ、分からん。とりあえず転がっておこう

心がグルグル回っちゃう        それ、足振り回されてるのよ、ソレって!
体もグルグル回っちゃう        そら、チョ~回るわさ、
月は一晩中出てるわけじゃない     お願い、朝まで、するつもりじゃないわねーーー
その気になって踊ろうせ        どんな気なのよー、貝、貝なのお~~~~?
(イエー、イエー、イエー)       (イエー、イエー、イエー)
スイムで行こう            イケ、イケ、
スイムで行こう            貝より蟹の方が分かりいいかもネッ?
裸足の足を手でつかんだら       摘むなって
クルリと回ってからかって       回すなって、コラッ、回すなって!
力いっぱい抱き合って         苦しい~~~よ~~~
腰を落としてスイムで行こう      貝ごっこパーティ?

みんなビートをつかんだね       コツが分かったかって言ってンのね
(みんなビートをつかんだね)      足、離してよー、
楽しげな足踏みを聞いてごらん     なんで貝が足踏み出来るのよ、
(楽しげな足踏みを聞いてごらん)    スマイル、スマイル、楽しそうにネ
良かったと思わないかい        エーー、ウソー、マジなのオ~~~。
(良かったと思わないかい)       スマイル、スマイル、楽しそうにネ
スイムがなんだかわかってさ      分かってたまるか
(イエー、イエー、イエー)       (イエー、イエー、イエー)
スイムで行こう            イクワサ、イキャーいいんでしょう!
スイムで行こう            貝になって、転がろう
裸足の足を手でつかんだら       貝に足ないのよ~~~
クルリと回ってからかって       アタイもアンタもからかわれてるの~~、コレって
力いっぱい抱き合って         ヨッシャ、考えずに参加、参加、
腰を落としてスイムで行こう      貝でも、金魚でも、タコでもするで
スイムで行こうスイムで行こう     イケ、イケ! コラ、サッサ   
裸足の足を手でつかんだら
クルリと回ってからかって
力いっぱい抱き合って
腰を落としてスイムで行こう
腰を落としてスイムで行こう

それにしても<スイムで行こう>とはよく言ったものだ。
この曲、原題は<DO THE CLAM>、邦題<スイムで行こう>は当時日本の音楽界が仕掛けたニュー・リズム「スイム」キャンペーンにひっかけたのだ。橋幸夫も「スイム」に乗っていた。
スイムの踊り方の解説書も出回っていたと思うが、ニュー・リズムといっても影も形もなく、ナニもない。なにもないところに仕掛けていくところが商売人だね。すごいね。何の断りもなく「貝」というだけで、王者エルヴィスまで巻き込んでしまうんだからね。でもこのキャンペーン、不発に終わったようで。

さあ、シャワーの前に<スイムで行こう>、出てきて、もう一回<スイムで行こう>

暑い夏には、手放せませんゾ。

2010年4月22日木曜日

いかすぜ、この恋



いかすぜ、この恋

ブリトニー・スピアーズの初主演映画「ノット・アーガール」が世界中で話題になっていた。
「批評家達が言いたいことを言うということは分かっていたわ。でも正直言って批評家が誉めるものなんて、私、一切好きじゃないし、批評家がけなすものは 私、大好きだから。私のファンがこの映画を観に行った時、感動するっていうことが私の意図なの。」悔しさを呑込んだ発言が、ちょっと痛い。20才の負けん 気が微笑ましい。
共演者のアンソン・マウントはロバート・デ・ニーロに相談をした。『ノット・アーガール』は、ちょっとくだらなくて、いかにも興行的な映画なんですよ”って相談したら、”だから何?”って言われて吹っ切れたんだ。」と語る。その後、デ・ニーロがブリトニーのセリフを読んで相手をしてくれたという話は ほほえましい。

「ノット・アーガール」はブリトニーのファン以外には無用の長物?なのだろう。しかしブリトニーのファンだけでしっかりビジネスになってしまうのも「偉 大」なのだ。世界中の女の子にとってファッション・リーダーであり、生きる手本。たばこも酒も飲まないという清潔感ゆえに、たばこを手にしている写真がゴ シップとなって世界を走る。

エルヴィスの世界とオーバーラップする「スターならこその世界」。

ベトナム戦争をくぐり抜けて、いつからか、ロックシーンに於いては、スターであることがカッコ悪いことに変わった。
ジャック・ケルアックの『路上』が世に出て、脚光を浴びたのも、裁判にまでなった「吠える」が脚光を浴びたのも、エルヴィスが生理的ともいえるスピード感 で世界を変えた56年を境にしてのこと。エルヴィスは直接”ビート・ジェネレーション”イギリスのアラン・シリトーの『土曜の夜と日曜の朝』に代表され る”怒れる若者たち”とは関係なかったが、ロックンロールを旗印に第二次世界大戦、朝鮮戦争の憂鬱な壁を打ち破ることで若者文化を引率した。日本では戦後 と訣別するかのように、石原裕次郎や小林旭など不良っぽいスターが登場し支持された。

アメリカの時の流れは早く、勝利した戦後は終わり、新しい戦争の真只中に若者を引きずり込んだ。ビートはヒッピーに変わり、陽気なポップ・カルチャーは、 陰影を含んだイギリス勢に席を譲った。ロック世代の台頭と映像表現。M-G-Mに代表される華麗なミュージカルは衰退し、全盛を誇った日活アクション映画 は、会社の存続すらままならず「ロマンポルノ」という看板を掲げて、泥にまみれながらも名門の灯を守ろうとした。

『Ticle Me』は、いわばこういう背景を凝縮したような映画だった。この作品では、全曲過去にリリースされた映画用でない楽曲が揃えられた。
『いかすぜ!この恋』と名付けられた日本タイトルの、”いかすぜ!”は石原裕次 郎のキャッチフレーズだが、すでに日本においても”いかすぜ”は過去になっていた。
エルヴィスの歌にもっともふさわしい「反逆児」作品を通過して、繁栄を誇るアメ リカにふさわしい、アメリカならではのスーパースター娯楽ムービーを通過して、エルヴィス映画は曲り角にぶちあたった。

時代がすでにスターであることがカッコ悪いことに変わっていても、エルヴィスが 巨大なスターである事実を、一体誰がどう変えることができただろうか。歌を見せるための装置だったエルヴィス映画は、エルヴィスの映画への野心を打ち砕き ながらも、通過したはずの過去に向かう以外に進路を見出せなかった。
この映画こそエルヴィス映画の終点だったと言えるのではないだろうか。

「私のファンがこの映画を観に行った時、感動するっていうことが私の意図なの。」とブリトニーが語るように、エルヴィスはカッコよく、怪談コメディーという肩のこらない仕掛けも、ただただエルヴィスを楽しむための映画だった。
洗練された男盛りを迎えていたエルヴィスをどう活かすか、ハリウッドは、この作品の後、『ハレム万才』『フランキー&ジョニー』とコスチューム・ムービー で新境地を開こうとした。大プロデューサーハル・ウォリスは無難な『ハワイアン・パラダイス』を選んだ。まだエルヴィス映画は呼吸していたが、不機嫌な時 代はすでにエルヴィス映画の限界突破を許すほど大らかではなかった。ついにハリウッドは、回答を出せないまま、『ラスベガス万才』のコピーに甘んじた。

『Ticle Me』は、監督はノーマン・タウログだが、エルヴィスにとってはコロンビア映画という異色。どういうわけか、この『いかすぜ!この恋』や『カリフォルニア万才』『ブルー・マイアミ』『スピードウェイ』『バギー万才』、戻って『キッスン・カズン』 『フロリダ万才』はTV放送されない。

『いかすぜ!この恋』のもうひとつの魅力は相手役のジョスリン・レイン。エルヴィスの相手役としてはベスト5に入るのでは?と女性ファンに尋ねたら一撃のもとに否定された。

この胸の中へおいで
お前の居場所はここだから
いかすぜ、この恋
これが間違っているもんか

お前のキスには何かある
強く抱きしめたくなるような何かが
間違っていることなど何もない
こんなにいかした恋だから

触れ合うたびに
ドキドキするぜ
かけがえのないお前を
放したりするもんか

*今夜限りなんかじゃない
これから一生、愛し合う
こんなにいかした恋
だからベイビー、間違っているはずがない

*リピート

さて、肝心の<いかすぜ!この恋>、映画のタイトルにもなったこの曲、本国ではB面扱いだったが、日本ではA面として扱われた。原題は<IIT FEEL SO RIGHT>、なかなかうまい素敵な日本タイトルがついたものだと感心する。
もともとは『ELVIS IS BACK!』に収録されていたブルージーな作品。65年にシングル・リリースされた<テル・ミー・ホワイ>も同系統の感じだが、<テル・ミー・ホワイ>が 57年の録音だったことを考えると、除隊後の録音である<いかすぜ!この恋>が、50年代のフィーリングをがっちり引き継いでいることを知らされる。

エルヴィスの高音を活かしたボーカルの魅力がうれしい傑作だ。ミステリアスなまでに高音が魅力的だった <CRAWFISH/ざりがに>や『ポットラック』に収録された<ステッピン・アウト・オブ・ライン>を作ったフレッド・ワイズ、ベン・ワイズマンの作品 と知れば共通点がしっかりあって納得。<ロカ・フラ・ベイビー>も彼等の作品だ。

全身を使い、腹と咽から絞り出すように歌う強引なラブソングの本気がすてきなエルヴィス。プレスリーはシンガーでありました。
このスタイルはいまも日本で健在。聴く人たちがそれを知っているかどうかはともかく。エルヴィス・プレスリーは数々の元祖でありました。

IT FEELS SO RIGHT

Step in these arms
Where you belong
It feels so right, so right
How can it be wrong

There's something in the way you kiss
That makes me want to hold you tight
l know that nothing can be wrong
That feels so right, oh yeah

Each time we touch
You thrill me so
It means so much so much
l can't let you go, oh yeah

*This Isn't only for tonight
We're gonna' Iove our whole life through
'Cos baby, if it feels so right How can it be wrong

* Repeat